2021年11月6日(土)~7日(日)に日本医療大学月寒キャンパスで開催いたしました日本精神医学史学会第24回大会は、予定どおり会期を終えることができました。本学会史上はじめてとなるハイブリッド方式という複雑な状況での開催にご協力くださった発表者のみなさま、座長の諸先生、ご参加の皆さまのすべてに心より感謝申し上げます。
次大会は2022年10月14日(金)~15日(土)に信州大学において開催される予定です。大会の盛況と一年後にお目にかかれることを祈念し、お礼のご挨拶とさせていただきます。
第24回大会は2020年10月に北海道大学(札幌市)での開催を予定しておりました。しかし、ご存じのとおり新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、まことに心苦しいながら2021年への開催延期を決定いたしました。
延期後は従来型の対面方式による開催が実現することを願いつつ準備を進めてまいりましたが、現在も対策の必要な状況が継続していることを鑑み、会場を日本医療大学(札幌市)へ変更のうえ、同大での対面会場設営およびオンライン会場設定の2形態複合「ハイブリッド方式」への開催とさせていただくことになります。
このたび本学会史上はじめての「北海道開催」として、ご参加を楽しみに計画されていたみなさまには、開催形態の変更により従来型とは異なる部分が生まれてしまったこと、また準備に時間を要して長らくお待たせすることになりご心配をおかけしておりますことを、まずは心からお詫び申し上げます。オンライン開催という新たな試みを導入するという意味でも本学会史上はじめての形態となりましたが、札幌会場およびオンライン会場それぞれでお会いできるみなさまと、共に会期を過ごせることを関係者一同心よりお待ちしております。
この時期の北海道は長い冬の季節に備え、秋という季節の短さからは思いもつかないほど、たくさんの実りに満ちあふれています。足をお運びくださるみなさまには、さまざまな制約を課された社会的状況のなかではありますが、少しでもその実りに触れていただけるならば、これほど嬉しいことはありません。そして回線の向こうからお越しくださるみなさまには、どうか状況が落ち着きましたら、いずれぜひ北海道へ足を踏み入れていただき、大会を思い出していただければ幸いです。
日本精神医学史学会大会は、このたび初めて津軽海峡を渡り、北海道・札幌の地で開催させていただくことになりました。11月の北海道はすでに晩秋というより初冬の気配が色濃く漂っており、場所によっては本格的な雪の便りも届き始めます。朝ひんやりと澄んだ空気は、積雪前のこの時期にしか味わうことができない特別なものです。踏みしめる落ち葉の乾いた高い音、冷えて硬さを増しつつある土の感触など、歩くたびに冬支度が静かに進んでいるのを感じることができるでしょう。
医学領域としての精神医学は、近代という多くの歴史的変動のなかに生まれました。18世紀から19世紀にかけては産業革命による科学技術の急激な発達を受け、医学が病理や病因の基礎となる理論に一種のパラダイムシフトともいえる変化を起こしています。また19世紀から20世紀にかけて世界的規模での戦争を経験した人々は、社会生活や価値観をさまざまに変化させました。すなわち、医学史のなかでも精神医学はその誕生時点から、立場や理論など、さまざまな「視点のちがい」によって発展し、同時に多くの問題を内包しながらその歩みを進めてきました。その成立から現在に至るまで200年足らずの短いあいだ、つねに変動のなかにあるといえます。私たちが歴史研究の対象としている精神医学は今もなお、のちの時代の人々から「成立史」という位置づけで語られる時期なのかもしれません。
学問としての精神医学は、大学の医学部に講座として設置されることで、現在わたしたちの知る体系をかたち作ってきました。しかし「精神」という、目の前そこに確かにあるはずなのに、手に触れる実体があるようでないという不可思議な対象を取り扱うがゆえ、精神医学は病院や大学といった場所で医師という専門家のみの手だけではなく、人間そのもの、あるいは人間の営みそのものに関心を寄せる領域に広く接点をもっています。その萌芽期からすぐそばを歩んできた心理学だけでなく、歴史学、社会学、哲学、文学、法学など、さまざまな人文学分野の研究者から高い関心を集め続けてきました。したがってその歴史は、精神医学そのものが医学として歩んできた過程であるとともに、どのような分野と手をとって言葉を紡ぎながら人間の「精神」を言い表そうとしてきたのかという努力の過程ともいえましょう。
精神医学は、少なくとも「医学」と呼ばれる枠のなかにありながら、その周縁あるいは外部にある多くの学問領域、また学問としてよりむしろ実践そのものとして展開される人々の活動領域と、多くの関わりがあります。本大会ではその関わりを「交差」と表現してみることにしました。あるものが何か別のものと「交差する」とき、両者の関わりはさまざまな形をとります。道路の平面交差のように、ある面を共有したうえで互いがそれぞれの目的地へ進むこともあれば、立体交差のように、同じ地点を通りながら互いに交じり合うことなく進んでいくこともあります。交差によって歩みが止まることもあれば、交差したこと自体に気づかないままになることもあります。あるいは遺伝子の交差のように、それによって互いが等しく何かを交換し合うこともあれば、一方のみが何かを手に入れ他方は何かを失うこともあるかもしれないのです。
私たちがいま見つめている精神医学の歴史とは、「精神医学」と呼ばれるものが、そうは呼ばれていない別の「何か」と交差することで、何かを得たり失ったり、交じり合ったりといった経験を積み重ねてきた大きな流れのことなのではないでしょうか。このような関心から、今大会は「交差する精神医学」をテーマに、精神医学とその周縁の世界(宗教・文化・思想など)において活動を繰り広げる人々、またそれぞれが属する社会が「交差」する交流の場となることを期待して企画いたしました。奇しくもオンライン開催の導入により、足を運ぶ従来型の会場で目に見える形での交流だけでなく、仮想空間という新たな交流の場も実現します。これまで足を踏み入れたことのない場へ道をつくる今回の機会を得たことで、本学会にまた新たな交差が生まれ、新たな道を拓き始めるかもしれないと期待いたします。
精神医学はこれまで、そしてこれから、いったい何と交差し、そこでどのように変わり続けてゆくのでしょうか。見つめる角度、入り込む角度を変えることで、交差はさまざまなかたちをとるはずです。講演やシンポジウムはもちろん、ご発表をいただく演題のひとつひとつが、精神医学に関わりのある人々がそれぞれの立場からさまざまな何かと「交差」して得られた多くの知見を、会場という「交差点」に集まる形で共有できるものとなれば、たいへんうれしく思います。発表されるみなさま、議論されるみなさま、参加されるみなさま、それぞれにとって、精神医学の過去・現在・未来の「交差」が、ご自身の歩まれる道に多くの実りをもたらしてくれることを心から願っております。
第24回日本精神医学史学会
大会長 森口眞衣(日本医療大学)
会期:2021年11月6日(土)~7日(日)
*今年度大会の理事会・評議員会・編集委員会は別日程(オンライン)で開催します。
開催形態:札幌会場とオンライン会場のハイブリッド方式
①札幌会場:日本医療大学月寒キャンパス(札幌市豊平区月寒3条11丁目1-50)
②オンライン会場:Zoomミーティングルーム
※詳細については順次更新します。
会員:9,000円
非会員(医師):10,000円
非会員(医師以外):5,000円
学生:2,000円
※今大会では参加手続き後、大会口座への事前郵便振替による参加費納入を予定しています。
※詳細については順次更新します。
※上記参加費のお支払いは下記大会専用口座への事前振込を原則とします。【札幌会場/オンライン会場】
【お振込先】以下いずれかの形で振込をお願いします。《振込期限:2021年11月4日(木)》
①郵便局からお振替の場合
ゆうちょ銀行 (記号)19040 (番号)59848291
②他金融機関(銀行など)からお振込の場合
ゆうちょ銀行(金融機関コード9900) (店名)九〇八(キュウゼロハチ)
(店番号)908 (普通預金)5984829
(口座名義)日本精神医学史学会大会
※大会専用HP「連絡用メールアドレス登録フォーム」でご記入いただいた「参加費振込予定の名義」と同じご名義でお願いします。変更が生じた場合は大会事務局までご連絡ください。
※オンライン会場でご参加の場合は「事前振込のみ」となりますのでご注意ください。お振込が確認できた段階で当日参加に必要な「オンライン会場情報」をお送りいたします。
※札幌会場でのご参加で上記振込期限に間に合わなかった場合のみ、札幌会場受付での現金納付を申受いたします。可能なかぎり事前振込でのお支払いをお願いします。
【札幌会場参加のみ】受付時にネームホルダーを配布いたします。会期中は常に身に付けてください。
例年では参加申し込みは会場にて、また演題申し込みは6月発刊の学会誌No.1に綴じ込みの「演題申込書」「演題応募受領書」「受理通知書(演題応募についてのお知らせ)」にて受付手続きをしていますが、今大会では以下のとおり変更となります。詳細は、7月下旬に会員住所へ郵送の書類をご参照ください。
参加形態(1)参加のみ:札幌会場/オンライン会場 共通
下記①または②によりお手続きをお願いいたします。【申込期限:2021年9月30日(木) → 2021年10月31日(日)】
①FAX登録:郵送された《参加申込書(FAX登録用)》の必要事項をご記入のうえ、学会事務局(03-5820-1898)までFAXで送信してください。
②Web登録:以下の《連絡用メールアドレス登録フォーム》より、今大会の連絡先として使用されるメールアドレスおよび必要事項をご登録ください。
参加形態(2)一般演題発表あり:札幌会場/オンライン会場 共通
【発表時間:口演15分+質疑応答5分=合計20分(予定)】
①郵送された《演題申込書》およびハガキ形式の《演題応募受領書》《演題受理通知書》(それぞれ63円切手の貼付をお願いします)に必要事項をご記入ください。
②以下の《発表要旨テンプレート》よりMS-Wordファイルをダウンロードのうえ、発表要旨原稿を以下のとおり作成し、A4用紙1枚にプリントアウトしてください。
・「演題名」「発表者名(共同発表の場合は発表者の前に〇印をつける)」「所属名(共同発表の場合、所属が異なる場合には、発表者名の後に数字を振り、それぞれの所属を記載する)」の順でご記入ください。
・「発表要旨」本文は10.5ポイント、全角800文字以内でおまとめください。
③上記①②を下記の第24回大会事務局までご返送ください。
【応募締切:2021年9月10日(金)】※応募受付は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。
④上記②のMS-Wordファイルデータを下記の第24回大会メールアドレスまでメール添付でお送りください。
⑤以下の《連絡用メールアドレス登録フォーム》より、メールアドレスをご登録ください。
※一般演題の採否、発表の日時はプログラム委員会で決定いたします。なお発表要旨については抄録集の統一をはかるため、要旨原稿の余白・活字などの体裁を整える場合があります。あらかじめご了承ください。
※発表者・共同演者ともに本学会の会員に限られます。入会ご希望の方は以下学会事務局までお申し込みください。
※ 参加登録がお済みの方
登録を完了された方には、ご登録いただいたメールアドレス宛に後日、事務局から「申込内容の確認」「オンライン会場のご案内」をお送りいたします。以後のオンライン会場に関するご連絡は登録メールアドレスへ送信いたしますので、適宜ご確認ください。
※スパムメール扱いになってしまうことがあるため、念のため「迷惑メールフォルダ」もご確認をお願いします。
※その他ご不明点などありましたら,下記の第24回大会メールアドレスまでご連絡をお願いします。
《日本精神医学史学会事務局(学会入会手続)》
〒111-0054 東京都台東区鳥越2-13-8 株式会社ライフメディコム内
Tel: 03-5809-1933 / Fax: 03-5820-1898
E-mail: k-abe●lifemedicom.co.jp
(上記"●"を半角"@"に修正してください。)
ホームページ: http://jshp.blog20.fc2.com
《第24回大会事務局(書類返送先)》
〒006-8585 札幌市手稲区前田7条15丁目4-1 北海道科学大学中央棟
第24回日本精神医学史学会 事務局長 奥山史亮(宛)
第24回大会E-mail: 24jshp2020●gmail.com
(上記"●"を半角"@"に修正してください。)